大企業にとって代わっていく、地方のスモールビジネスオーナーたち

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ここ2年ちょっとほどBASEというサービスに関わっているのですが、その運営側から個人のネットショップオーナーたちを見ているといつもそのビジョンや可能性に驚かされます。(BASEとは、個人を中心とした20万人以上に利用されているネットショップが無料で簡単に作れるサービスです。)

BASEとしてのイベントやセミナーを自分が中心となって何度か開催しているのですが、その中でショップオーナーさん達と話していると、完全に世の中における購買の流れが変わりつつあるということを感じます。


マスからニッチへ


Niche
今年に入ってユナイテッド・アローズ、ユニクロ、ワールドという大手アパレルブランド3社の売上が低迷しているようです。例えばユナイテッド・アローズを見てみると、定番商品の値上げにより客足が遠のいてしまったのがその要因の一つとしてあるそうです

ユナイテッドアローズ、まさかの失速のワケ
ユニクロ売上1年8ヶ月ぶりの2ケタ減に ファストリ株は大幅反落
専門店系アパレルを通してワールドは復権できるか?

“営業減益の最大の要因は、価格戦略の失敗だ。円安による輸入コスト増を吸収するため、2014年の秋冬商品でシャツやカットソーなど定番品を一律値上げしたことが裏目に出て、10月以降に客数が急減。” via.ユナイテッドアローズ、まさかの失速のワケ

3社とも、様々な取り組みを打って対策を行っているようですが、これら大衆向けの大手ブランドには少しの値上げで客足が途絶えてしまうというリスクがあるように感じました。上記参考記事を見る限り”みんなが買っているからとりあえずそこで買っている、値上げしたのであれば他の似たような商品(ブランド)で買う”というレベルの薄い関係値しか築けていないように思います。

企業が大きくなれなるほど、それは免れないジレンマでしょう。組織の規模が大きくなり上場まですればその分、売上を求める必要が出てくるわけで、そうなるとニッチなターゲットではなく、規模の経済が働く大衆向けのブランドとして成長させていく必要があるわけです。つまり「多くの人に最適な商品」。大勢にとって最適な商品とは言い換えると「自分が持つ必然性に乏しい商品」とも言えます。


スターバックド


starbucked
上に紹介した日本のアパレルメーカーの現状に繋がる話ですが、今アメリカでは「ステルススターバックス」とよばれるスターバックス店舗が、2009年頃からポツポツとオープンしているそうです。

一見、スタバとは関係のないサードウェーブコーヒーを彷彿とさせるインディペンデントでおしゃれなコーヒーショップが、実はスターバックスが運営しているというお店です。(なんでもスタバとバレたらスタバの看板を小さく出し始めるそうです笑)

なぜあの圧倒的なブランドをもつスターバックスがそのようなお店を運営するのでしょうか?その背景には「スターバックド」という考え方があり、今ニューヨークやブルックリンに住む前衛的な人々を中心に”スターバックスに行くことはダサい”という認識が徐々に増えてきているそうです。(スターバックドとはスターバックスを過去形にしたもので、批判を込めた表現となっています。)

世界中にある画一化されているチェーン店にいくことは自分の価値観がないことと同じ、特にブルックリンに住む人々はそのような意識だそうで、お店を選ぶという自身の行動によって自分を表現しているのでしょう。

”便利さ”よりも”共感”ベースで行くお店を選ぶ、もう十分便利な世の中になっているからこそ人々の物を選ぶ基準も変わっているんでしょうね。またローカルを重要視するという見方もあるでしょう。チェーン店はどこにでもあるので、そこを支援することはその街の特色を失くしてしまう方向にも繋がってしまいますから。


便利なショッピングセンターかローカルな小さい店舗か


shoppingmall
その街の特色という点や地方に目を向けると、イオンなどのショッピングモールが今やどの地域の中心にありますよね。そこに入っているのはユニクロや無印など、また誰もが知っている大手ブランドばかり。どこも変わり映えしない国道のロードサイド店舗も同じことがいえます。多くの人が集まるので、大衆をターゲットにしたチェーン店が揃うという図式。

ネットショップの話題に話を戻すとそれらショッピングセンターは言うなれば楽天、ZOZOTOWN、Yahoo!ショッピングなどの大手モールのようだなと感じます。そこにいけば大手のブランドやメーカーが販売する、誰にとっても魅力的な様々な商品を購入することができます。

自分のブランドで売るのではなく、もともとブランド化されているモールの中で商品を売る。ショッピングセンターに客足が流れるように、モールサイトにも多大なアクセス数がありますが、その中のショップとお客様の関係性はどこまで築けているのでしょうか。

一方、BASEを活用しているショップは、路地裏や郊外にある個人ブランドのお店とも言えます。モール形式ではないので、売上を上げていくには自身で集客活動を行っていく必要があります。個人でやるような実店舗であれば、これまでは近くに住む人達による口コミなどでしか、その存在を知ってもらえる手段はありませんでした。しかし今や人々はソーシャルメディアやスマホを使って、本当に自分が共感するものや買う理由のあるものを見つけているのです。

こんなところどうやって行くの?っていうお店にすごい行列ができていたり、主婦が空いている時間に作っている雑貨が数百万円の売上をあげていたりと、そこでしか得られない体験や心から共感できるコンセプトに対して人々は時間やコストをかけはじめています。

ショッピングセンターやモールサイトに出店することが、売上を上げる効果的な方法だと思われていますが、果たしてそうでしょうか?人々の価値観も、共感を作り出すためのツールも大きく変わり始めています。Instagramを通した共感と関係性の構築などとても興味深いものがあります。


 

地方で軸をもってモノづくりをする人たちの時代へ


okinawafoodflea
最近すごい注目しているのがOKINAWA FOOD FLEAという沖縄で定期的に開催しているフードフェスです。スタート1年目にして1日で10,000人もの動員する規模となっており、主催者の方が共感をした沖縄の飲食店ひとつひとつに声をかけ出店を募り実現したイベントです。

個性的な店舗同士のセッション、野外で大勢の客を目の前に料理をするライブ感など、そこでしか味わえない料理や体験ができるとあって大変な注目を集めているようです。また、OKINAWA FOOD FLEAという場を通して沖縄でスモールビジネス(飲食店)をされている人たちの熱気や想いに参加者が共感をしているということも盛り上がっている理由の一つではないでしょうか。(参考:「東京だけを見ているわけではない」10,000人を動員するフードフェス、OKINAWA FOOD FLEAが目指す未来。

結論、これから売上を求めるマス向けのブランドの勢いは衰え、地方で、また個人で想いをもってモノづくりをしている、大勢ではなく一部のお客様の共感を掴むことができる小さなブランドたちがどんどん注目を浴びていく世の中になると僕は確信しています。

面白い場所、面白い人、面白いものは色んなところにあります。BASEを活用するスモールビジネスオーナーを身近に感じる日々で、その想いは強くなる一方です。リアルでの体験、オンラインでの繋がりを通じて人々は他の誰でもない、自分のためのブランドを見つけていくことでしょう。

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